真っ暗な世界で
ザッ!ザクッ!!


私の手から離れた小太刀は、1秒も経たずに無事、中庭の土に着地したようだ。


ゲンくんの足音もピタリと止まった。


「……なっ!?」


佐久田が驚いたような声を出している。


隙をついて攻撃するつもりはなかったよう。


……詰めが甘いのね。


「……何の真似だ?」


その驚きも一瞬で、佐久田はもっと警戒心を強めたらしい。


警戒してますオーラがぷんぷんしてる。


「……邪魔な動物がいた」


それだけ答えると、佐久田がまた動くのを待った。


ゲンくんの足音がまた動き出した。今度は遠ざかっていく。うまく逃げてくれたらしい。


「……ふん。……まぁ、いい。先ほどの問に答えろ」


「答える必要はない」


「戯言を申すな!」


戯言を言ってるのはどちらだ。


先ほどの質問に答える必要がどこにあるのか理解不能。


仮にどうしても知りたいのならば、そんなものは連れ出すことが出来てから、訊けばいいこと。


まぁ、連れだされる気は一切ないけれども。


最初の思っていたとおり、無言を貫くと、激昂したのか、佐久田の雰囲気が怒気を纏った。


「……どいつもこいつも…。俺に逆らいやがってぇぇぇぇえ!!」











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