真っ暗な世界で
「ひぃぃじぃぃかぁぁあたぁぁあ!!」


大声で、殺気全開、全力疾走で土方を探す。この方法が土方を見つけるのに一番効果的だ。


土方はうるさく廊下を走られることが大嫌いだ。場合によっちゃぁ、鬼ごっこに発展する。


今回も勿論、例外じゃない。


「うっせぇ!走ってんじゃねぇぞ!!」


「みつけたぁぁ!!」


「なんだよっ!?もっとマシな探し方しやがれ!!」


土方が鬼のような顔をして広間から顔を出す。


「話があんだよ」


「オイゴラ、聞いてんのかよ」


土方が額に青筋を浮かべたけど、気にしないない。


「……てか、みんな揃って何してんの?」


土方が顔を出したのは、幹部全員が集まる際に使う広間だった。


「ハルくんのことについて……かな」


沖田がブスッとした顔をした。


どんだけ不機嫌なんだよ。


あれから沖田は近寄り難くなった。いつもヘラヘラしていたのに、一切笑わなくなった。


必要なこと以外は話さなくなったし、土方をいじらなくなった。


「もうそろそろ……謹慎を解いてもいいんじゃねぇかって」


原田が、気まずそうに言う。


「……俺は反対だっ!」


「平助!!」


「だってよ、新ぱっつあん!俺はハルを信用出来ねぇよ」


平助は、不満そうに唇を尖らせてそっぽを向く。


「ですが、彼女が土方くんに近づこうとする間者を牽制していたことが分かりましたし……」


まぁまぁ、と総長の山南さんは穏やかにハルのフォローをする。


「背中の傷も癒えてきた頃だしな。観察方も人手が足りねぇ」


土方も山南さんの意見に賛成のようだ。うんうんと頷いている。







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