真っ暗な世界で
『観察方の人手も足りねぇ』


私の耳にその一言が反芻していた。


「土方ぁ!ゲス方ぁ!私はその話で来たんだよ!!」


「はぁっ!?」


ビシッ!と土方を指差すと、土方はすっごい嫌そうな顔をした。


顔に『てめぇ、何なんだよ』って書いてる。


もちのろんで、玲那様だ。


「あっ。その前に一つだけご報告ー」


「玲那くん、何かな?」


よいしょ。と沖田の隣に座ると、近藤さんが身を乗り出して聞いてきた。


「ハルは、この時代の人間じゃぁ、ありません!私と同じ時代を生きていましたー。因みにきちんと確認したから間違いない」


「……………はぁ?」


その場にいた幹部8人が一斉にポカンと口を開けて、間抜けな声を出した。


「そこで、土方に物申す!!」


「ちょっ……待て!話が全然見えてこねぇ!


「だーかーらぁー!ハルは、元々未来の人間だったってこと。日本語お分かり?」


「え?……はぁっ!?…はぁぁあ!?」


「平助がなんでそんなに驚いてんだよ」


ハルのことをさんざんに言っておきながら、誰よりも一番なリアクションをする平助に思わず突っ込んでしまった。


「そっそりゃ……驚くだろ」


「まっ、いーけど」


「無視はやめろぉぉお!!」


平助の悲痛な叫び声も完全にスルーして、土方に向き直った。


「あんた、何を考えてる訳?
争いなんて知らない、命の危険なんて考えたこともない未来から来た女の子を……ましてや、目が見えない女の子を!観察方なんて、危険な仕事させて何が楽しいんだよ」


『目が見えない』。そう私が言った時、土方の顔色があからさまに変わった。


少しでも罪悪感を抱いているのだろうか。


私がさらに言葉を続けようとした瞬間、何かが目の前を横切った。

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