真っ暗な世界で
ただいま、頭ン中混乱中。


ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるグルコ●ミンは大切だよな、老化防止。廊下は走っちゃいけないぞ。冬の廊下は寒いな。北海道は冬にもアイスを食べちゃうよ。


「……えと、じゃぁ………」


まだ整理できていないまま、呟く。


つ、つまり……隣にいる沖田も、馬鹿そうな平助も永倉も、いけ好かないゲス方も、仏の山南さんも、タラシ野郎の原田も、何考えてるかわかんない斎藤も、優しい近藤さんも、皆、私より頭良かったりすんの?


なんという敗北感………。


床に両手をついて、敗北感にうちひしがれてると、ハルがさらなる追い打ちをかけてきた。


「話を逸らさせないで。時間の無駄」


「ご……ごめん」


「………で?ハルくん……いや、ハルちゃんは何を言いたい訳?」


ハルがここに来てからずっと沈黙を守っていた沖田が、ハルに冷たい侮蔑の目を向けた。


ハルは、それに気付いたのか、気付いていないのか、何の反応も示さずに沖田の問に答える。


「私は目が見えなくても、知識で十分に補えます。目が見えないことについての心配は無用」


「……心配は……無用って」


無理だろ、それ。


ついつい、心の声が漏れてしまった。


「何故?」


ハルは少し驚いた顔で私の顔をみた。……いや、私の顔がある方向に自らの顔を向けた。


その動作に、背筋がゾッとした。


動きが、まるで人形だ。


「…なっ……何故って。ハルが心配だし、大切だから……」


「そう思ってるのはあなただけでは?」


「そんなこと!……な、い…」


語尾が小さくなったのは、明らかな動揺から。


本当に全員がそうとは思えない。沖田と平助は見るからに避けているし。


口ごもる私に、ハルは小さくため息をついて続けた。


「………話を戻します」





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