真っ暗な世界で
「あはははははっ!ははははは……あー……はははっ」


「玲那、頭大丈夫か?」


笑い過ぎて、床をバンバン叩く私の顔を覗きこんで、若干……いや、どん引きしながら平助が言った。


「はぁ?大丈夫だっての」


頭大丈夫か。なんて平助に言われるのは癪で、平助の頭をポカリと殴る。


「いってぇ!?」


ブツブツ文句をいう平助をスルーして、ハルに歩み寄った。


「ハル」


「……」


私の声に反応したハルは私を見つめる。無言ということは、先を言うことを許しているのだろうか。


「ハルの言いたい事、分かった。私の言ったことを実行したんだな?」


ハルはその言葉に素直に頷いた。


「……玲那。どういう事だ?」


原田が、私を鋭く睨んだ。殺す気のない殺気なんて、怖くない。


私はハルの肩を掴んで、少し自分の方へ引っ張ると、ニカッと笑った。


「ハルは、あんた達に信頼されたいんだよっ」


「はぁ?いきなり何言って……」


訝しげに言った平助の言葉を、沖田が遮る。


「今更?……笑えちゃうよ。ハルちゃん、はさっさと僕に斬られなよ」


「沖田!お前、いい加減に…」


「やめんか、総司っ!」


「総司っ!!」


私と近藤さん、土方の制止も聞かずに刀を鞘から抜く。


「斬りたいのならば、斬って結構です。ですが、その前に私の話を聞いて下さりますか」


大人しく、私の為すがままになっていたハルが、私の手を振り払い、沖田に向かっていった。


「へぇ?辞世の句?土方さんみたいにへったクソじゃないなら聞いてあげてもいいよ」


「オイゴラ、総司。誰の句がへったクソだって?」


「土方さんに決まってるじゃないですか。………で?話って?」


沖田は土方に軽口を叩きながら、ハルに刀を向けた。










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