真っ暗な世界で
ポコポコと水が沸騰した音がして、火を消した。
火の扱いだけは、細心の注意を払わなくてはならない。一度火事になれば、この屯所など一瞬で燃えカスに変わる。
「火、消えてますか」
「あぁ。消えている」
目の見える斎藤さんにきちんと消化したかを見てもらうと、お茶っ葉を急須にいれる。ちなみに、玄米茶だ。
お茶っ葉の香りが鼻をくすぐる。
この香りが、心を穏やかにする。
お茶っ葉を入れれば、沸騰したばかりのお湯を急須に入れた。
「玄米茶か」
「お嫌いでしたか」
心の中で30秒を数えながら、斎藤さんの呟きに答える。
「温度の高い湯でも渋みなどが強く出ないからな。嫌いではない」
「良かったです」
よし、30秒経った。
一度湯呑みの位置を確認してから急須を持ち上げる。
ほとほとと湯呑みを落ちてゆく音と香りが心地いい。
時々、湯呑みに手を当て、熱さでどこまで入っているかを確認する。
「どうぞ、斎藤さん」
「あぁ。礼を言う」
コトリと湯呑みを持ち上げて、斎藤さんの気配がするほうに湯呑みを向けた。
手から湯呑みの重さと熱さが消えた。
斎藤さんが受け取ったということなのだろう。
「では、私はこれで」
一度だけお辞儀をして、土方さんの分のお茶を持って台所から出た。
火の扱いだけは、細心の注意を払わなくてはならない。一度火事になれば、この屯所など一瞬で燃えカスに変わる。
「火、消えてますか」
「あぁ。消えている」
目の見える斎藤さんにきちんと消化したかを見てもらうと、お茶っ葉を急須にいれる。ちなみに、玄米茶だ。
お茶っ葉の香りが鼻をくすぐる。
この香りが、心を穏やかにする。
お茶っ葉を入れれば、沸騰したばかりのお湯を急須に入れた。
「玄米茶か」
「お嫌いでしたか」
心の中で30秒を数えながら、斎藤さんの呟きに答える。
「温度の高い湯でも渋みなどが強く出ないからな。嫌いではない」
「良かったです」
よし、30秒経った。
一度湯呑みの位置を確認してから急須を持ち上げる。
ほとほとと湯呑みを落ちてゆく音と香りが心地いい。
時々、湯呑みに手を当て、熱さでどこまで入っているかを確認する。
「どうぞ、斎藤さん」
「あぁ。礼を言う」
コトリと湯呑みを持ち上げて、斎藤さんの気配がするほうに湯呑みを向けた。
手から湯呑みの重さと熱さが消えた。
斎藤さんが受け取ったということなのだろう。
「では、私はこれで」
一度だけお辞儀をして、土方さんの分のお茶を持って台所から出た。