真っ暗な世界で
「……土方さん?何の用ですか。僕、暇じゃない……」


「…総司。来てすぐには何だが、こいつと勝負してくれ」


土方さんが僕が来るなり、ある少年を指差した。


その少年は外を見ていて...肩までもない短い髪を風に揺らしていた。


「こいつって……土方さん。まだこの子こどもじゃないですか」


そう、僕が勝負してくれと言われたのはまだ年端もいかないようなこどもに見えた。


「さっき、近藤さんが道端でこいつに声を掛けたんだよ。ここに入らねぇかって」


「……あぁ、なるほど」


一瞬土方さんの頭がイカれたかと思ったけど、そう言うことなのね。土方さんはこの子を間者として疑ってるんだね。


僕の方見て、軽く頭下げる少年を見てほくそえんだ。


どうせ、すぐに僕に負けるんだと。
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