真っ暗な世界で
「最近、『照屋』という遊郭に長州藩士が頻繁に出入りしているそうだ。女将に話は着けている。明日から行けるか?」
そう言って、土方さんは私の手に文を握らせる。この場合、この文は女将様に渡すものだ。
「御意」
私は頷き、その文を懐にしまった。
「明日、夜明けと共にここを女姿で出ろ。門番は、斎藤と原田に頼む。くれぐれも平隊士に見つかるな」
声を抑え、早口で私に注意する。
「分かっています。その注意は何度目ですか。俺も、子供じゃありませんよ」
そういうと、土方さんは鼻で笑った。
「何言ってんだ。14なんてまだまだ餓鬼だ。精神的には大人びてるけどな」
…………土方さんはとんだ勘違いをしているらしい。
そこまで、子供に見えますか。土方さん。
「……俺、17ですが」
「……………………嘘つくなよ」
「いえ、本当ですって」
「…………………嘘つくなって」
「いえ、だから、本当に17なんですよ」
「………背、ちびっこいのに?」
「それは、幹部の皆様に比べたら小さいでしょう」
だって、声が落ちてくるところがみんな大体175cmくらいのところなんだもん。
それに比べて私は146cm。約30cmの差がある。
…………ま、まぁ、子供には見えるかも知れないが、それを認めてしまうのは私の小さなプライドが許さないので、認めないことにする。
「……………本気か?」
「本気です」
暫く、土方さんは黙り込む。
何か考え込んでいるのか、事態を飲み込むのに手こずっているのかは分からないけど、明らかに動揺してるのは分かる。
それから2分ほど経ったあと、土方さんは静かに私の肩を軽く叩いて、
「す、すまねぇ。ずっと14の餓鬼だと思ってた」
「いいえ」
わたし達の間になんとなく気まずい雰囲気が流れ始めた。
そう言って、土方さんは私の手に文を握らせる。この場合、この文は女将様に渡すものだ。
「御意」
私は頷き、その文を懐にしまった。
「明日、夜明けと共にここを女姿で出ろ。門番は、斎藤と原田に頼む。くれぐれも平隊士に見つかるな」
声を抑え、早口で私に注意する。
「分かっています。その注意は何度目ですか。俺も、子供じゃありませんよ」
そういうと、土方さんは鼻で笑った。
「何言ってんだ。14なんてまだまだ餓鬼だ。精神的には大人びてるけどな」
…………土方さんはとんだ勘違いをしているらしい。
そこまで、子供に見えますか。土方さん。
「……俺、17ですが」
「……………………嘘つくなよ」
「いえ、本当ですって」
「…………………嘘つくなって」
「いえ、だから、本当に17なんですよ」
「………背、ちびっこいのに?」
「それは、幹部の皆様に比べたら小さいでしょう」
だって、声が落ちてくるところがみんな大体175cmくらいのところなんだもん。
それに比べて私は146cm。約30cmの差がある。
…………ま、まぁ、子供には見えるかも知れないが、それを認めてしまうのは私の小さなプライドが許さないので、認めないことにする。
「……………本気か?」
「本気です」
暫く、土方さんは黙り込む。
何か考え込んでいるのか、事態を飲み込むのに手こずっているのかは分からないけど、明らかに動揺してるのは分かる。
それから2分ほど経ったあと、土方さんは静かに私の肩を軽く叩いて、
「す、すまねぇ。ずっと14の餓鬼だと思ってた」
「いいえ」
わたし達の間になんとなく気まずい雰囲気が流れ始めた。