真っ暗な世界で
「何でしょうか」
「……お主、珍しい成りをしておる。置いていけ」
…………珍しい?おかしい。私の服装はそこまで特殊なものではないはずだ。なんだ、この男は私の服装が原宿らへんの斬新ファッションにでも見えるのか。
男の不可解な言動に首を傾げた。
だが、置いていけという提案に乗る訳がない。
「断ります。身包みをはがされる理由が見つからない」
「ならば、死んでもらおう」
ちょっと待って。そんな簡単に、犯罪に手を染めようとするの?本気?
そう考えているうちに、チャキ…と金属が擦れた音がした。
厄介なことに、銃なのか、刃物なのか。はたまた違うものなのか、全く予想がつかない。攻撃されるまで、避け方なんて分からない。
そのことに、緊張感を覚え、息を呑んだ。
男は一息おいてから、ダダダと大きな足音を踏み鳴らして向かってきた。
「……死ねぇ!!」
風で、ある程度の動きを読むことはできる。
そう思って避けると、私の頬に鋭い痛みを感じた。
なんだか、刃物のような気がする。
頬をツウと生ぬるく、鉄の臭いがする液体が流れる。血だ。
……?本物?
男は、本気だ。
ここに来て、やっと分かった、自分の命の危機。
意味がわからない。何が、どうして、私が見ず知らずの男に刃物を突きつけられなきゃいけないんだ。
それにしても、どうして刃物類が持ち歩けているんだろう。
京都は日本だよね?
まさか、日本に無法地帯なんてあるわけないだろう。
「……って、てめぇー!許さん!!」
私が避けたことに、男は返って、逆上した。
なんで、この男は私の身ぐるみを欲しがるのか。もらえない。ただそれだけの理由で攻撃してくるのか。犯罪に手を染めるのか。
なぜ、彼が刀を持てているのか。
平和なこの時代では考えられないことばかりが起きて、まるで、自分が現実とは違う世界にいるような錯覚に陥る。
「ぐぉぉぉぉお!!」
まず、私のやるべきことは、この男の攻撃を止めること。
そう思い、声がしたところをタイミングを合わせて回し蹴りした。
ドスッ
手応え抜群。
「……ウグッ!!」
相手の反応もダメージ感抜群。
ドサという音がしたので、その場所に向かって思い切り蹴る。
「ぐぁぁぁあっ!!」
踏んだところはそんなに肉はついておらず、比較的平らで骨ばっていることから手を踏みつけたことが分かった。
だとしたら、もう少し前に、そして右下にいけばお腹があるはず。そこを踏みつけて動けないようにしよう。
そう思っていたけど、痛さのあまり、男が動き回るから、私が左足をあげたとたん、わき腹が真下にきた。それは、右足のすねにお腹があたったことから分かる。
そこを思い切りふみつける。
「手荒な真似はしたくない……けど」
「ヴッ……ガハッ……」
「あなたが、悪いの」
手のひらへの攻撃が効いたのか、男はすっかり大人しくなる。
未だに痛みに震えている男の近くにこつん、とあたる何かがあった。
……なんだろう?
私は慎重にその物体を拾い上げる。
ずっしりと重く、木の部分と金属の部分に分かれているらしい。拾った時に音が違った。金属独特の、音がした。
その金属の部分を触ってみるとプツン、と鋭い痛みとともに指が切れた。
……重い。……この長さ、そして、さっきの切れ味……。間違いない。日本刀だ。
「……くうっ、離せっ…!」
痛みが少しひいたらしく、男はまた動こうともがく。
うるさい。せっかく頭の整理がつきそうなのに。
「……黙って」
そう言って、右足で押さえていた手のひらを日本刀で貫いた。
「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
男は激しく悶える。
「……ねぇ、今から私の質問に偽りなく答えなさい」
私の脳裏に過った、可能性。
でも、それは、あまりにも非現実的で、確証もない。
「……いや、だ」
「……いいの?もう一度、刺すけど」
「わわわ、分かった!分かったから!!」
男は情けないほどか細い声で叫んだ。
「……お主、珍しい成りをしておる。置いていけ」
…………珍しい?おかしい。私の服装はそこまで特殊なものではないはずだ。なんだ、この男は私の服装が原宿らへんの斬新ファッションにでも見えるのか。
男の不可解な言動に首を傾げた。
だが、置いていけという提案に乗る訳がない。
「断ります。身包みをはがされる理由が見つからない」
「ならば、死んでもらおう」
ちょっと待って。そんな簡単に、犯罪に手を染めようとするの?本気?
そう考えているうちに、チャキ…と金属が擦れた音がした。
厄介なことに、銃なのか、刃物なのか。はたまた違うものなのか、全く予想がつかない。攻撃されるまで、避け方なんて分からない。
そのことに、緊張感を覚え、息を呑んだ。
男は一息おいてから、ダダダと大きな足音を踏み鳴らして向かってきた。
「……死ねぇ!!」
風で、ある程度の動きを読むことはできる。
そう思って避けると、私の頬に鋭い痛みを感じた。
なんだか、刃物のような気がする。
頬をツウと生ぬるく、鉄の臭いがする液体が流れる。血だ。
……?本物?
男は、本気だ。
ここに来て、やっと分かった、自分の命の危機。
意味がわからない。何が、どうして、私が見ず知らずの男に刃物を突きつけられなきゃいけないんだ。
それにしても、どうして刃物類が持ち歩けているんだろう。
京都は日本だよね?
まさか、日本に無法地帯なんてあるわけないだろう。
「……って、てめぇー!許さん!!」
私が避けたことに、男は返って、逆上した。
なんで、この男は私の身ぐるみを欲しがるのか。もらえない。ただそれだけの理由で攻撃してくるのか。犯罪に手を染めるのか。
なぜ、彼が刀を持てているのか。
平和なこの時代では考えられないことばかりが起きて、まるで、自分が現実とは違う世界にいるような錯覚に陥る。
「ぐぉぉぉぉお!!」
まず、私のやるべきことは、この男の攻撃を止めること。
そう思い、声がしたところをタイミングを合わせて回し蹴りした。
ドスッ
手応え抜群。
「……ウグッ!!」
相手の反応もダメージ感抜群。
ドサという音がしたので、その場所に向かって思い切り蹴る。
「ぐぁぁぁあっ!!」
踏んだところはそんなに肉はついておらず、比較的平らで骨ばっていることから手を踏みつけたことが分かった。
だとしたら、もう少し前に、そして右下にいけばお腹があるはず。そこを踏みつけて動けないようにしよう。
そう思っていたけど、痛さのあまり、男が動き回るから、私が左足をあげたとたん、わき腹が真下にきた。それは、右足のすねにお腹があたったことから分かる。
そこを思い切りふみつける。
「手荒な真似はしたくない……けど」
「ヴッ……ガハッ……」
「あなたが、悪いの」
手のひらへの攻撃が効いたのか、男はすっかり大人しくなる。
未だに痛みに震えている男の近くにこつん、とあたる何かがあった。
……なんだろう?
私は慎重にその物体を拾い上げる。
ずっしりと重く、木の部分と金属の部分に分かれているらしい。拾った時に音が違った。金属独特の、音がした。
その金属の部分を触ってみるとプツン、と鋭い痛みとともに指が切れた。
……重い。……この長さ、そして、さっきの切れ味……。間違いない。日本刀だ。
「……くうっ、離せっ…!」
痛みが少しひいたらしく、男はまた動こうともがく。
うるさい。せっかく頭の整理がつきそうなのに。
「……黙って」
そう言って、右足で押さえていた手のひらを日本刀で貫いた。
「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
男は激しく悶える。
「……ねぇ、今から私の質問に偽りなく答えなさい」
私の脳裏に過った、可能性。
でも、それは、あまりにも非現実的で、確証もない。
「……いや、だ」
「……いいの?もう一度、刺すけど」
「わわわ、分かった!分かったから!!」
男は情けないほどか細い声で叫んだ。