真っ暗な世界で

土方の小姓の正体 玲那side

私の名前は咲洲玲那。年は16。まぁ、普通ならピッチピチの女子高生なんだけれど、色々と事情がありまして、幕末にいる。


現代にいるときは、『凛堂』というレディースの暴走族の総長をやっていた。


皆、社会から見放された人間だったけど、心が綺麗で、優しかった。


こっちに…幕末に来た日。


私はライバルの『月光』と最後の勢力争いをしていた。


お互い全員総出で真っ向から喧嘩した。


勿論、総長のわたしも例外ではなく、相手を次々に倒していった。


そして、『月光』の総長、月島奈緒と対峙した時だった。


奈緒は私を見てにやりと笑った後、その右手に握られていたスイッチみたいなものを押した。


その瞬間、わたし達が喧嘩していた倉庫全体が激しく揺れる。


私はその衝撃に耐えられなくて、その場に座り込んだ。


未だに状況を読み込めない私に奈緒はその切れ長の目を細めて、さぞ可笑しそうに言った。


「実は、この倉庫全体に爆弾を仕込んでいたの。あぁ、殺傷能力はないわ。今のはね、この倉庫を爆発した音。あと10秒もしたらこの倉庫は跡形もなく崩れ去るわ」


「はぁっ!?あんたはどうすんだよ!!」


「私?私はね……」


クスクスと笑いながらこっちに来る奈緒。


その姿は完全に狂っているように見えた。


そして、私の目の前に座ってニコリと微笑んだ。


「あんたを、殺してから一緒に死ぬ」


そう言った時、奈緒は目にとまらぬ速さでサバイバルナイフを取り出して、私めがけて振りかぶった。


私は必死にそれを止める。


けど、揺れる倉庫ではなんの抵抗も出来ずに、脇腹を刺された。


「ヴッ……!!」


あまりの激痛に何も出来なくなる。それをいい事に奈緒は私の心臓に血のついたカッターナイフを突き刺した。


「さよなら、玲那…」


私は激痛と胸に刺さる金属の冷たさを感じながら意識を手放した。








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