真っ暗な世界で
「土方ってほんとゲスい。キモイ。末端から腐って死ねばいいのに」


私は小声で言ったつもりだったが、土方には聞こえていたらしい。けっ!地獄耳め!!


「出てけと言っただけで、その暴言かよ。ま、いい。おい、茶持って来い」


「は?なんで、この私がわざわざゲス方なんかに茶を入れてやらなければならない?」


「ゲス方ってなんだよ。もう原形すら留めてねぇじゃねぇか。………春のことを少し教えてやってもいい」


「…………うっ」


土方に従うのはすごく癪だったが、結局ハル君に釣られた。


「けっ!!ほんと、土方腹の底から真っ黒い。ハル君を使うなんて酷い奴だ」


いや!いやいや!仕方ないっしょ!あのマスコットキャラクターがどんな風に構築されているのかは誰だって気になるでしょ!?


「ほらよ!」


心の優しい私は本当はお茶に色々とヤバイものを混ぜたかったが、我慢してまともにいれた。


「ほら、約束どおり教えろよ」


「あぁ……そうだ………ブフォッ!!」


頷き、私がいれてやったお茶を飲んだ途端、吹き出した。


「なんだよ、きたねぇな」


「ゴホッ…おまっ…これ!ゲホゲホッ…嫌がらせか!?」


「はぁ!?失礼だな。きちんといれたぞ。色々と混ぜたかったのは山々だが」


「しょ………正気の沙汰じゃねぇ!」


「人にいれてもらってそんなこと言うゲス方のほうが正気の沙汰じゃねぇ」


「…………………」


何故かいきなりゲス方がかわいそうなものを見るような目で私を見てきた。


「行儀悪く、言葉遣いも汚い。生意気。茶すらまともにいれられない。…………お前、嫁にいけねぇぞ」


「余計なお世話だ、ゴラ!」


立派なレディに失礼すぎるゲス方に正義の鉄槌を思いっ切り喰らわせた。





< 77 / 195 >

この作品をシェア

pagetop