真っ暗な世界で
バシィッ


互の竹刀が勢い良くぶつかり合う。


そして、反発しあうように離れた。


片足がつけばすぐに平助に一撃を加えにいく。


平助はその速さに驚いて


「うわっ!」


と小さく呟き、私の竹刀を受け止めることしか出来なかった。


私はニヤリと口角をあげて、また、竹刀を振り上げる。


バシッ


今度は平助も、私の竹刀を流して、攻撃へと入る。


それを受け止め、弾き返す。


その拍子に平助は体勢崩して、尻餅をついた。


それがチャンスだと言わんばかりに私は全速力で平助との間合いを詰める。


そして、思い切り竹刀を振り下ろした。


バシィッ


だが、それも受け止められてしまう。


ここまでくると歯がゆい。


あーもう!さっさとくたばれぇ!!


無我夢中で竹刀を振り回すと、考えなかったのが悪かったのだろう、軽く流され、背後に回られた。


あっ…やばっ!?と思った時にはもう遅かった。


首にパンとかるく竹刀を当てられ、それは私の負けを意味していた。


「平助の、勝利」


呆然とする私の耳に土方の平助の勝利を宣言する声が虚しく響いた。

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