真っ暗な世界で
ルンルルーン♪


今の私は最高潮に上機嫌だ。


「あ、玲那ちゃん。どうしたの、その気持ち悪い笑顔」


沖田がニコニコ笑顔で私に毒を吐く。私に毒を吐くなんてことをやってのけるの沖田くらいだ。


いつもなら、笑顔で拳を握り締めて地獄の果てまでおいかけるところだが、なんたって、今の私は最高潮に上機嫌。


多少のことなら見逃してあげるのだ。


「おーきた♪これからよろしくな!」


沖田の肩をパンッと叩く。


沖田は痛そうに顔を歪めて、私をまじまじとみる。


「ほんとに気持ち悪いね。それに改めてどうしたの」


「私、咲洲玲那16歳!本日付で一番組隊士になりまぁーす☆」


「…………ふーん、そう」


目の前で可愛い女の子が目元にピースサインをおいて、ウインクしてるのに、沖田は、さらに冷たい目で私を見下ろしてくる。


「なんだよー。反応うっす!!」


「どうせ、近藤さんは了承したんでしょ。別に驚くことじゃないし」


「そーなのか?土方と平助はすんごい騒いでたぞ??」


「まぁ、普通はそうだろうね。でも、覚悟は出来てるんでしょ?」


沖田が真っ直ぐに、私を射抜くように鋭い目でみる。


私は近藤さんとおなじように、真っ直ぐ見て、ゆっくりと頷いた。


そうだ。私は軽い気持ちで隊士になるんじゃない。隊士になることは、人を殺すことだ。人の未来を奪う行為をすることだ。


新選組のために。


一度人を斬れば、もう後戻りは出来ない。


そんなこと、分かってる。覚悟はしたんだ。


「………なら、よろしくね」


しばらくの沈黙の後、沖田はふんわりと微笑んで、去っていった。










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