真っ暗な世界で
その夜、私は何故か眠れずにいた。


与えられた六畳の部屋が広く思える。


息が詰まる。


そう思った私は、あまり良くはないと分かっていながら部屋の外へと出た。


冷たい風が私の体を撫でる。


「……っ、さむ……」


体を猫のように丸めて縁側に座る。


ここに来て2日。慣れないことばかりだ。


「ここも、星は綺麗だな…」


あの夜を思い出す。


私が、全てをなくした日。


その日も満天の星空が私を笑ってた。


──お前は一人だ。他人なんか信じるな。信じれば裏切られるだけ。信じるなんて愚かな行為はもう、するな。──


そして、決めたんだ。


他人なんか絶対に信じない。


今はだいぶ他人を信じることが出来るようになったけど、まだまだ知らない人はまるっきり信用できない。


ここは、楽しい。毎日笑っていられる。


だけど、綾希や沙羅、愛衣みたいに完全に信じることが出来ない。


それに、怖いんだ。


彼らに私の過去がバレるのが。きっと、さすがの彼らも私から離れるに違いない。


そうなったら、私はまた、独りぼっち。


どうしようもない孤独感に襲われる。


発作的に刃物を探してしまう。


そんな自分に気付いて、また自分に絶望するんだ。


「…………っ、はぁ、キツいな。会いたいよ。綾希、沙羅、愛衣…… 」


自然に口からこぼれ落ちた弱音。


私はいつから、弱音を吐くほど弱くなったのか。


私の目から悔し涙が溢れた。











< 87 / 195 >

この作品をシェア

pagetop