真っ暗な世界で
その後、すぐに部屋に入ると眠気が襲ってきて、朝までぐっすり寝れた。


───パチリ


あー………ねみぃ……。


一回目を開けたのに、眠気と寒さで布団の中から出られないでいた。


なんかいい眠気覚しとかないかな。ほら、ゲス方を有効活用してさ。


布団にくるまりながら、意識を半分飛ばしながら考えていると、一昨日、目にした『豊玉発句集』の文字を思い出した。


あー…あれ、どっかでみたことあるんだよなぁー………。確か、私の脳内でなんか、方程式が出来てたんだよ…。


豊玉……豊玉……えっと、そうだ!『豊玉=私の好みじゃないイケメン』だ!!


霧が晴れたように思い出していくうちに私の眠気も何処かへぶっ飛ぶ。


ここでいう、『私の好みじゃないイケメン=ゲス方』!!!


謎が解けた!!そして、名案が思いついた。


あれは鬼の副長と呼ばれたゲス方の弱点ともいえよう。なんてったって、下手だからな!!


取り敢えず、土方の部屋から奴(豊玉発句集)を頂戴しよう。そして、大声で詠みあげてあげよう。鬼がどんな反応のか、楽しみだ。


そうと決まれば、あとは早い。布団をたたみ、部屋を出ると一目散に土方の部屋に向かった。


抜き足…差し足…忍び足〜……なぁんちって。


無事に豊玉発句集を保護した私は土方の部屋から30m離れたところでその1ページ目をめくり、思い切り息を吸い込んだ。


まだ、夢の中にいる土方を起こしてあげようではないか。







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