真っ暗な世界で
結果報告。


ハル君は、私の思っていたような純粋少年ではなかったようです。


つまり、土方が正しかった。


朝食はずっと無表情。土方の命令でのみ動く。下手したら斎藤より食えないかもしれない。


私は今、凍えるような寒さに耐えながら洗濯をしている。


「くわぁ~!!つめたぁー!!…………これ、全部あのゲス方のせいだ」


ゲス方がこんなことを頼まなければ……。


そう思っていると、背後から思いがけない人物の声が聞こえた。


「ゲス方………とは誰ですか?」


「は、ハル君!?」


男の子としては高い、落ち着いた声。ハル君だった。


ハル君は私が驚いてその名を呼ぶと、うるさそうに少し顔を歪めた。


「やり方、分かりますか」


「え?うーん……まだ、ちょっと」


私が微妙な反応をすると、縁側から降りて、こっちにきた。


え…ちょっ!?なに、なになになに!?


「貸してください」


内心パニックになっているうちに、ハル君は目と鼻の先にいた。


そして、私の手から洗濯物を取る。ハル君は視力が低いのか、洗濯物を取るときに手がとんとん、と私の手に触れた。


「こうすれば、あまり力はいりません」


ハル君はあっという間に洗濯物の汚れを落としていく。確かにハル君のやり方ならあまり力は要らなさそうだ。


「へぇー!ありがとね」


素直にお礼を言ってみれば、ハル君は用はないといったふうに立ち上がった。


「いえ。では、失礼します」


「えっ!?」


最後まで一緒にやってくれると思っていたから、思わず素っ頓狂な声を出してしまった。


「俺、まだまだやることがあるので」


ハル君は、また冷たい声で私にお辞儀をする。


待って。私はまだ君のことを知りたいんだ。


なんでかはわからない。けど、すごく、気になるんだ。あの日見た、君の笑顔は『偽物』なのか??


「ねぇ!なんで土方の小姓なんかやってんの?」


気付いたら、そんなことを聞いていた。


ハル君は私を見ることもなく、背中を向けたまま、当たり前だというように


「それが俺に与えられた仕事だからですよ」


そう言って去っていった。





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