声の届く距離にいてください。
「下げるな」
「え、だって不味いんじゃ…」
「誰が不味いと言った。これは壬生菜か」
「は、はい そうです」
しかめっ面してたから、てっきり美味しくないのかと思っちゃった
「壬生菜…」
「どうかしましたか?やっぱり美味しくないんじゃ…」
「ちょうど良い塩加減に、醤油やすり胡麻などの使い…これは美味い。これだけで飯が進むな」
「……っ///」
こ、こんないきなり褒められたら…
「ありがとう…ございます。あ、じゃあごゆっくり」
唐突に弾かれたように小夜は台所に戻ると、ズリズリと壁にもたれかかり顔を赤くしていた
はぁ…
「どないしたん小夜」
「久米さん、褒められちゃいました」
「あら…ふふ よかったやないの。小夜ちゃんのおひたしは絶品やからそら褒められるわ、それに初めて来てくれやったお客さんやない!」
「や、やめて下さいよ久米さんまで…」
小夜は未だ赤い顔を両手で覆い隠した
それを見ると久米は「ええな若いって」と呟きながら、表に出ていった