君と指切り〜10年の軌跡

「トモ…なの?」

10年離れていても
私は直ぐにわかった
彼は“麻生智輝"
もう会えないと思っていたのに…

「奈都芽、坂上君と知り合いなの?」

私は静かに頷いた。

「あっ!私、用事思い出した」

恐らく用事なんてないと思う…
サナは屋上から出て行ってしまった。


「ねぇ!?トモでしょ?
ずっと会いたかった」


私は、たまらなくなり
寝ているトモの胸に飛び込んだけど

トモは両手で私の肩を押さえ自分の身体から離し
ゆっくりと上体を起こし
ベンチに座り直した。



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