君と指切り〜10年の軌跡
「俺、お前知らないし」
「なんで?忘れちゃったの?」
「人違いじゃない?」
「私、二ノ宮奈都芽
幼稚園のころ、よく遊んでたんだよ
家に泊まりに来たり
ピアノ教室だって一緒に…」
「…」
「本当に覚えてないんだ」
「奈都芽…か、やっぱり知らない
悪かったな」
「仕方ないよね、さ、坂上君昨日はありがとう…あと今朝も」
「身体は大丈夫なのか?」
「なんとか…それじゃ私、行くね」
“知らない"
絶望的な一言だった。