君と指切り〜10年の軌跡
その男の子はニコッと笑い手招きしてくれた。
「中に入れば?」
「あ、はい」
私は少し離れた椅子に腰掛け目を伏せた。
「何?サボリ?」
「…」
「アハハ、俺サボリ
でも昼休み終わったから
もう弾けないや」
「…ですよね」
「何かあった?」
「いえ、何もないです」
「そう」
何故か居ずらくなって
私は教室に戻ることにした。
「私、やっぱり授業出ます」
「その方が良いよ」
「それじゃ失礼します」
「うん」
名前も学年も知らない彼
暫くして再会する事になるとは
その時、知る由もなかった。