君と指切り〜10年の軌跡
何人かの生徒たちが駆け寄ったみたいで
“ナツ"“ナツ"
懐かしい声が聞こえてくる。
それは幼い時のトモの声?
身体からフワッと持ち上がり
身体の右半分に汗の匂いと
温もりを感じた。
瞑っていた目をそっと開けるとトモが私を抱えていた。
トモが助けてくれた?
「…ナツ」
今、何て?
“ナツ"
確かに、そう言ってた。
「ト…坂上君?」
「大丈夫か?」
トモは真っ直ぐ前を見据え
歩き続ける。
「もう大丈夫、歩けるよ」
「ダメだ」
トモは、そのまま保健室まで運んでくれた。