君と指切り〜10年の軌跡

私はトモの話を聞いても

気の訊いた返事も出来ない
励まし勇気づけることだって

余りにも、壮絶だから
私の言葉は、ただの戯言になってしまうから。




「そろそろ帰らなきゃね」

「ナツ?身体、大事にしろよムリすんな」

「トモ、ありがとう、じゃ」

私は片手を振り家の方向へと歩き出した。


「ナツ!」

トモの叫び声。

私はトモの方へ向き直り
走り出していた。

トモは私を引き寄せ抱きしめてくれた。


「トモ、私は今でも好き」

「ナツ?
ナツとこうするのも、これが最後だ」


“わかってる、わかってるよトモ"


最後に一度だけでも…


好きって言ってほしかった

トモが今日流した涙は

私の涙とは違う意味の涙

“トモ?これからは幸せにならなきゃ、だめだよ"



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