君と指切り〜10年の軌跡
ずっと目で追っていた姿が次第に大きくなり
“来る!"
「智輝!」
私の後方から聞こえた声
さっきの2年の女の子の声だった。
「優花」
“優花…"
トモは私を見下ろし
そしてまた優花さんの方へ視線を戻した。
「優花、ナツの具合悪いのか?」
「うん体調が悪いみたいで、智輝の知り合い?」
トモは頷くと優花さんの肩を優しくポンポンと叩き
「そっか…優花、頼むな」
「うん、リレー頑張ってね」
私は、わかった気がした。
トモの彼女って優花さんだって。
競うつもりは無いけど
敵うはずがない。
私は、すっと目を閉じ少し落ち着くことにした。
“好き…だけど…忘れ…"