君と指切り〜10年の軌跡
外に出ると太陽が、やたら眩しくて
頭がクラクラした。
私は彼の背中に顔を伏せて
眩しい光から身を隠した。
その時、初めて気づく
心地よい彼の匂い
シトラス系のコロン
不覚にもこのままでいたい感情がわいてきた。
いつテントに着いたんだろう
何やら会話が聞こえたくる。
そして彼の身体が一瞬沈んで
またフワッと上に来る。
背中の振動から聞こえて来る声。
「送って行くよ」
「あっ、ごめんなさい、歩きます」
「じゃ、ちょっと待って」
校庭の隅にある木陰で私を下ろしてくれた。
「歩けそう?荷物は?」
「はい、荷物は特にないです」
「体育祭…」
「あと少しで終わりだよ、学年別リレーと
部活対抗リレーかな、見る?」
“リレー…か"
「ううん、帰りたい」
グランドの横の体育館を通り過ぎ
裏門から私達は学校を出た。