君と指切り〜10年の軌跡
日直の仕事を終え
学級日誌と鞄も持って職員室に向かった。
中庭の見える廊下を歩いていると
庭の反対側、旧校舎の第3音楽室からピアノの音が聴こえきた。
“柊先輩"
日誌を渡して、此処に戻った時
ピアノの音がまだ聴こえていたら会いに行こう。
変な決心をして私は職員室へと向かった。
担任の新井先生の話しは思いの外長く続いた。
“絶対に間に合わないな"
この機会を逃すと夏休みが終わるまで会えない。
半分、諦めながらも、淡い期待をこめ
耳を澄ませながら中庭に辿り着いたけど
やはり、ピアノの音は聴こえなかった。