君と指切り〜10年の軌跡
柊先輩は私の涙に気付き浴衣の裾で拭ってくれた。
「ごめん、泣かせるつもりは…」
「ううん大丈夫です」
「奈都芽ちゃんは優花に似ている
どこか危なげで、放っとけない
誰かが支えてあげないと壊れてしまいそうで
保健室で泣いてる奈都芽ちゃんに会った時も、今にも壊れそうで
気がつくと抱きしめてた」
「先輩…」
「花火、あと少しだよ」
残っていたのはロケット花火と線香花火だった。
「柊先輩!ロケット花火やろっ、恋愛ドラマの展開だと
締めくくりは線香花火だけど、せっかくの花火大会だから!」
「そうだな!」
柊先輩がロケット花火を5本並べて点火した。
パーンーー
乾いた音が鳴り響く
私達はそれを見上げた。
こうして2人だけの花火大会は
幕を閉じた