君と指切り〜10年の軌跡

ナツのプレゼント/智輝


俺は、ナツの家の前にいる。

此処に立って初めて気付いた。
ナツは俺を、此処に呼びたかったんだ。


チャイムを鳴らすと、ナツの父親が出てきた。

「おー智輝か?」

「はい」

「奈都芽に聞いてる、中に入りなさい」

リビングに通されると母親が涙を浮かべて近付いて来た。

「トモ君、元気でいてくれて良かった、ずっと心配してたのよ」

「おばさん…おひさしぶりです」

「とにかく座って」


ソファーに腰掛けて真っ直ぐ見るキッチンや壁は当時のまま
懐かしかった。



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