身代わり王子にご用心
「ふ~何とか間に合ったわ」
途中で違うスタッフが手伝ってくれたから、スムーズに進み無事に終わらせることが出来た。
「本当にありがとう。とても助かったわ。こんなものしかないけど、よかったら飲んで。喉渇いたでしょう」
タオルと共にペットボトルのお茶をいただき、ありがたく喉を潤した。他のスタッフ(とは言っても2人だけど)も、休憩なのか椅子に座ってお茶を飲む。
「そういえば、あなたはカッちゃんと一緒に来たのよね?」
カッちゃんって誰だ? と一瞬悩んだけど、たぶん桂木さんのことだと思って頷いた。
すると、途端に彼女の口元が緩む。
「ふふ~ん……そっかぁ。遂にカッちゃんも大切なひとが出来たのかぁ。そりゃめでたい!」
まるで乾杯するみたいに、彼女は自分のペットボトルを私のそれにコツンと当てた。