身代わり王子にご用心
「私は、水科 桃花です」
ペコッと頭を下げてから、気になった点を訊いてみた。
「映画部……高校から一緒に活動されていたんですか?」
「そうそう。意外かもしれないけど、カッちゃんも映画部に入ってたんだよ」
「へえ……」
曽我部さんの話に、少し納得する。桂木さんが映画部に、かあ。やっぱりあの外見だから、もちろん主演なんだろうな。
「それじゃあきっと演技なんかも上手いんでしょうね」
「いや、暁はどちらかと言えば脚本を担当してた」
熊さんこと、物部さんが意外な話を打ち明けてくれた。
「そうそう! カッちゃんはストーリー構成とかでよく春日先輩とぶつかってたな~。それを諌めてたのが、雅(まさ)っちだったな……あ、知ってる?高宮 雅幸。あいつも映画部にいたんだよ」
「!」
思わぬ場所で高宮さんの名前を聞いて、危うくペットボトルを落としそうになった。