身代わり王子にご用心




「あれ、聞いてませんでした? 今晩開催のパーティーに行くから、今日は元からお休みになってますよ~」

「……は?」


藤沢さんがさりげなく出した話は、私にとってまさに青天の霹靂だった。





「……あの……どういうことでしょうか?」


3時間後。


藤沢さんにラチられた私は、再び富士美さんのお店に強制連行されてました。


スタッフ総出で肌を磨き上げられ(実はエステもあるんです)、たるんだ部分はエステティシャンの魔法の手で引き締められ。デトックスまで行った上に何やら髪を弄られまくりまして。

その上ブラで脇に流れたお肉をカップに詰めて胸を寄せては上げ、ささやかに出たぽっこりお腹とお尻は強力な補正下着によって矯正されて。息苦しいと半ば朦朧としてる間に、見覚えのないカクテルドレスを着せられ。フルメイクを施されましたよ。


意識を取り戻した私に見えたのは、魔女のように妖艶な笑みの富士美さんの美しいお顔でした。

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