身代わり王子にご用心









「ふふふ、思った通りにあなたには赤色が似合うわね」


そうおっしゃる富士美さんは、身体にフィットするラメ入りの黒いカクテルドレスを身に纏ってらっしゃいました。 片側だけ肩を出す大胆なデザインで、膝下丈のスカートのスリットから綺麗なおみ足が見えてますな。


「わあっ! 桃花さん、すごくキレイですよ~。赤が黒に映えてステキです」


藤沢さんが感激したように褒めて下さいますが、妖精みたいなあなたの方がよほどキレイですって。


藤沢さんはクリーム色のカクテルドレス。ノースリーブノーカラーのデザインで、ウエストにサテンのサッシュをあしらい。膝上丈のスカートは何枚ものシフォン素材が連なって。まるで妖精の羽根にも見えるふんわりした印象。


栗色の髪はシニョンスタイルに軽く結い、ワンポイントで羽根のヘアアクセサリーをあしらってる。胸元は小ぶりなシトリンのネックレスだけが飾られていた。


私はと言えば、鏡で見たところ肩を全て出すオフショルダーデザインのカクテルドレス。ウエストや裾には黒い切り替えが入れられ、膝上のスカートは基本がタイトで、同色のシフォン素材がダイヤ柄にカットされ重ねられてた。


黒い髪はあちこち弄られてゆるやかなウェブが掛けられ、ワックスか何かで艶やか。大振りなダイヤ型のイヤリングがキラキラ輝いてた。 胸元には見たこともないダイヤが連なったデザインネックレス。


基本は赤で黒い切り替えのあるパンプスに、ラメが入った赤いバッグまで用意されてた。


< 155 / 390 >

この作品をシェア

pagetop