身代わり王子にご用心

涙のセカンドキス




――あのひとだ。


私の目が吸い寄せられるようにそちらを向いた瞬間に気づいた。


まるでスポットライトが当たっているように、そこだけがキラキラと輝いて見える。


その中でもひときわ眩く輝くブロンド美人。澄んだブルーの瞳と絹のようなさらさらの金髪。瞳に似たロイヤルブルーのカクテルドレスを身に纏った、美の女神。彼女が、そこにいた――。





先に受け付けを済ませて手荷物とコート類を専用のクロークルームに預け、引き換えのタグを受け取ってから会場へ向かう。

受け付けで渡された小ぶりのコサージュは、白い花。ワンポイントになるかな、と胸元に留めておいた。


ところが、高宮さんは何やらコサージュに悪戦苦闘している様子。


「よかったら、私が付けましょうか?」


見かねて申し出たのに、じろりと睨まれてしまいましたが。ほら、後から来た招待客がこちらを見てますよ。


「このままじゃ目立っちゃいますから、私に任せてください」
「……」


暗に注目を集めていると伝えれば、さすがに大人しくなったから。彼の手から奪ったコサージュを左胸に着ける。


本当は、指が震えてしまったけど。何とか悟られないように……と必死に平静を装った。


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