身代わり王子にご用心


お店の最初の1ヶ月はプレ·オープンということで、地元の人間を招待してのオープン前の練習期間となっていた。


完成前のお料理を試食していただき、接客や味に問題はないか。雰囲気や居心地は良いか、をアンケート形式で意見を募っていく。


自分たちでは完璧と思っていても、お客様から見れば全然なことは多い。そういった目線の違いの乖離をなるべく埋めながら、お客様の満足度を高めていくのも大切。


肝心のお料理は私が日本料理をベースに提案して、地元の食材を使ってどうアレンジしていくかを毎晩話し合う。


味はもちろん、火加減や食感や見た目の美しさや盛り付け。お客様の目はなかなか厳しくて、改良するためにお店の事務所に寝泊まりすることさえあった。


料理人としてはまだまだひょっ子な私だけど、メニューを考えるのはもう20年近くやってきた。だから、とっさのアレンジメニューを考えるのも得意だと思う。


日本人ならではの食材は珍しがられたけれど、私が試しに料理をして食べさせると。大いに興味を持った料理人も多い。


改良が進むうちにシェフからの指導を受けることもあり、野菜の下ごしらえから少しずつ手伝わせてもらえるようになった。


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