身代わり王子にご用心
「くうっ……わかりましたわ! それほど期待をされたなら、わたくしも全力でお応え致します! ハナエ·フジミの名にかけて」
富士美さんが拳を突き上げ、メラメラ燃えてますけど……。
当事者であるはずの私は、意味がわからないんですがね。
『国王陛下と妃殿下のお越しでございます』
侍女が来訪を告げたお二人はすぐに姿を現し、山のようなお土産を持参してきた。
『おお、モモカ。体調はどうだね? 精がつくと言うから、日本のそばと自然薯を取り寄せたぞ。それからこれは腹巻きと靴下じゃ。ヴァルヌスは冷えるからの』
『やっぱりこの時期に食べやすい栄養バランスのいいものは乳製品ですよ。チーズにヨーグルトに。あとは果物なら生食もいいですが、スムージーなんかも栄養が丸ごと取れますわ』
カイ王子のものであふれてたテーブルは、お二人からの贈り物で遂にはみ出すほど。
いや……ありがたいのですが……ね。
『三人も一度に授かるとはさすがにやり手のカイじゃ。これで一気に後継者問題は片付くのう』
違う意味でのやり手だと思いますが……。と国王陛下のお言葉に心の中で思わず突っ込んだのは内緒です。