身代わり王子にご用心
「水科さん、僕は今日本社に行く用事がありますから。人事部の方に掛け合ってきましょうか?」
「え……い、いいです! そんな大事にしなくたって」
私はぶんぶんと手を振って、桂木さんを諌めた。
「あ、あれは私が悪かったんです! きちんと確認と報告しなかったから、あらぬ疑いを受けたんで……だから」
「でも、あれは桃花さんがやったのでないと防犯ビデオできちんと証明されたじゃないですか! なのになんであの人達は、いつまでも桃花さんを犯罪者みたいな目で見てるんでしょう。おかしいですよ。絶対に売り場を変えて貰うべきです!!」
興奮した藤沢さんはバンッとテーブルを叩いたけど、私はゆっくりと首を横に振った。