身代わり王子にご用心
「なあに、黙っちゃって。ホントだから言い返せないんでしょ? そういえばあなた、妹が結婚するって。あら、ま~かわいそうに。5つも下の妹が結婚するのに、あなたには全然そんなご縁なさそうだものね。
わたしがあなたの年にはもう結婚して妊娠してたけど。
ま、身綺麗にするどころか。お店の商品を泥棒するような人にはまず無理でしょ?」
「!!」
私が思わず振り向くと、大谷さんはクスッと意地悪な笑みを浮かべる。
「あら、どうしたの? わたしが本当の事を言ったから腹が立った?」
茶髪の巻き髪を弄りながらの彼女を、私は睨み付けてた。
「私は……泥棒なんてしてません!」
「ああら、本当にそうかしら? 持ち込み禁止の私物のバッグを売り場に持ってきた挙げ句、あなたしか触ってないアクセサリーが幾つも消えていた……って。いくらなんでも怪しすぎでしょ?
あなた以外誰が盗めるのよ」