身代わり王子にご用心
オマケに準備したはずのリボンが無くなってたり、包装紙が破れたり汚れたりしていて、備品倉庫まで何回か取りに行かなくちゃならなかったのだから。
「申し訳ありません! 急ぎますのでもう少々お待ちください」
「だから、もう少々ってどれくらいよ! もういいわ、キャンセルして。よそで買うから!!」
とにかく頭を下げてひたすらお詫びをしても、怒り心頭のお客様の気分を鎮めることはできなくて。返品を受けてるうちにまた他のラッピング用の商品が増えてく。
レジにいるパートさんは一人。よそに目を向ければ、案内という名目で知り合いとお喋りししてる人数人。掃除と商品補充でだらけてる人が数人。
「あの……大変なのでラッピングを手伝ってくれますか?」
横切った人に思い切って声を掛けてみても、完全にスルーされて足早に去られた。