身代わり王子にご用心
レジとラッピングの為に二階のカウンターに行く最中、管理表のファイルを手に管理倉庫に向かう高宮さんの姿が見えた。
(そういえば、高宮さんも玩具売り場の在庫チェックしてるんだ)
相変わらずやる気が無さそうなのそのそとした歩みをみた、他の従業員がクスクスと笑ってた。
「見てみて、相変わらずあのダサさ。オマケにやる気一切なしだし。なんでクビにならないか不思議だわ」
「でもさ、水科さんと一緒で。見てると、あたし達もまだ大丈夫!って自信が持てるよね~」
「そうだけど、それ言っちゃね~ほら、聞こえてるよ」
クスクスと笑う十近く若い学生アルバイトを横目に、カウンターでレジしようとすると、大谷さんが眉をひそめた。
「なあに、そのきったない10円玉。ドロアーから溢れちゃうじゃない。まさか全部釣り銭入れに入れるんじゃないでしょうね? 止めてよ」