身代わり王子にご用心




悔しい……。


怒りや情けなさに、憤りや反発心。私の中でいろんな感情がごちゃ混ぜになり、自分でも訳がわからないけど。何よりも悔しさが勝っていた。


ごそごそと体を捩って何とかプチプチをほどくと、両手を使って立ち上がる。


(悔しい! 何で他人の高宮さんにあんなに言われなきゃいけないの)


言われっぱなしは癪に触る。どうにかして、ぎゃふん! と言わせたいと思った私は、壁に凭れたまま目を閉じる高宮さんに向かう。


ポケットには確か……あった。


目的のセロファンに包まれたモノを見つけた私は、ニヤリと独りで笑う。絶対にあの澄ました顔を歪ませてやりたい……と足音を殺してそろり、と近づいていく。


案の定高宮さんは立ったまま寝入ってる。私が彼の鼻を軽く摘まむと、苦しくなったのか口が僅かに開いたから、そこで素早く手にしたものを放り入れた。


すると。


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