身代わり王子にご用心
それからしばらくうとうとしてたけど、プチプチにくるまってても何だか寒さを酷く感じるようになった。
頭がズキンズキンと痛いし……ボウッとするし。全身のダルさも尋常じゃない。体が重い……寒いのに暑くて、背中に汗が流れた。
「こほっ……」
喉のイガイガに耐えきれなくて小さく咳き込むと、高宮さんがすぐに近寄って額に手を当てる。
……手……冷たくて気持ちいいなあ、なんてぼんやり考えていると。何故か彼は眉を寄せてる。
「さっきも少し熱かったが、やっぱり熱が出たな。もう少し我慢してろ」
彼は自分の着ていたベストを私の肩に掛けると、扉に向かって歩いていく。
「早く出ないと風邪が酷くなるぞ」
そう言って扉に手を掛けたけど、内鍵でもないのに彼にどうこう出来るとは思えない。