君の世界からわたしが消えても。
02 残映
――ここに来ると、思い出す。
大切な3人との過去を。
もう戻っては来ない、わたしたち4人の日常を――……。
「今日も綺麗だね?」
「そうだなあ」
夕暮れに身体を染めて、ほのぼのと会話をするのは、ミヅキとカナ。
ここは、わたしたち4人にとって、思い出の場所。
「ね、ふたりもそう思うでしょ?」
屈託のない笑顔で少し後ろにいたわたしとイチに投げかけたのは、ミヅキ。
ここに来るたびに聞くセリフに苦笑しながらも、綺麗なのは本当だから頷く。
隣を見れば、イチも困ったように笑ってた。
わたしたちの答えに満足したように、ミヅキはにこりと笑み浮かべ、隣に座るカナに寄り掛かった。
その姿に、胸がちくりと痛んだけど、それに気付かないふりをしていた。
わたしが“ミヅキ”と呼ぶ彼女の名は、高梨 美月(たかなし みづき)。
一卵性の双子、わたしの片割れ。
「葉月(はづき)、イチもこっちおいでよ」
そうわたしたちを促したのは、“カナ”こと、夏目 奏汰(なつめ かなた)。
カナの言葉を合図にそこに向かうわたし、隣に並んで歩きだしたのは、岸 壱成(きし いっせい)。
通称、イチ。
わたしたちは小学生の時から仲が良かった。
中学でもそれは変わらずに、クラスは違えどいつも一緒にいるメンバーだった。