君の世界からわたしが消えても。

「それじゃ、今日はもう帰るね」


 弱ってしまった声帯を鍛える訓練の一貫として、今までずっとみんなで話していた。


 喋っていたのはわたしとカナで、イチはいつものことながらあまり話さなかった。


 声を出し過ぎたおかげで喉が痛い。


 でも、はっきり言うと、うわの空で会話をしてた。


 なにを話していたのかなんて、ほとんど覚えてない。


 カナが楽しそうに笑っているから、ちゃんと会話はできていたんだろうけど。


 時間が経つのはあっという間で、時刻はもう17時。


 随分長居した。


 というか、1日を病院で過ごしてしまった。

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