君の世界からわたしが消えても。

 夏休みも、あと数日で終わっちゃう。


 残った課題を消化しないと……。


「次は、25日に来るね」


 夏休み最後の日にまた来ると伝えると、カナは嬉しそうに笑った。


 手を振り、その場を離れようとした時、服の裾をくいっと引かれた。


 そこを掴んでいるのは、細く白くなったカナの手。


 もしかして、わたしたちが帰っちゃうのが寂しいのかな?


 ……だとしたら、すごく可愛いんだけど。


「えっと、どうしたの?」


 服を掴んだまま俯いているカナ。


 うーん、これは本当に寂しいと思っているパターンなのかな?


 そう思って、「もう少しここにいようか?」と聞こうとした。


 その瞬間、カナがゆっくりと顔を上げた。

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