君の世界からわたしが消えても。

 『なにか困ったことがあれば、ここに連絡しなさい。』


 おじいちゃん先生はそう言って、帰り際、わたしにだけ直通の番号をくれた。


 先生は、きっと気付いてる。


 わたしの心の中の葛藤に。


 だからこそ、この番号をくれたんだ。


 わたしが潰れてしまわないように、間違ってしまわないように――。




 ……足音は、ひっそりと、こっそりと、静かに静かに近づいてくる。


 その正体が見え隠れするその瞬間、逃げるか、立ち向かうかは、自分次第。


 わたしにまた、選択の時が近づいていた。

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