君の世界からわたしが消えても。

 全部全部、わかっていたことだったから、わたしはカナの一番になることよりも、一番になれなくても傍にいられる道を選んだ。


 ミヅキと、カナと、イチと。


 大切で大好きな人たちと、一緒にいることを望んだ。


 ……それだけでよかった、はずだった。


 でも、状況が変われば、気持ちなんて簡単に変化した。


 ずるくて、脆くて、甘えたなわたしの小さな決意なんて、ないも同然だった。


 わたしがこんなだから、はじめはひとつだった許されたいこと、謝らなければならないことは、ここ数日で増えちゃったんだ。


 カナの意識が戻ってから、自分がどれだけ最低でひどいのかを知った。


 わたしをミヅキと呼ぶカナの声を聞くだけで、苦しくなった。


 その響きは柔らかくて、甘くて。


 まるでわたしがカナに愛されてるみたいに、錯覚させられた。


 ミヅキじゃなくて、わたしの名前を呼んでほしいと思った。


 でも、カナが求めているのは、好きなのは、わたしじゃなくてミヅキ。


 いくら優しい瞳を向けられたって、それはわたしのものじゃない。


 ……たったひとり、ミヅキのもの。

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