君の世界からわたしが消えても。

 何度も儚く甘い、夢を見て。


 だけど、それはあっという間に覚めてしまう。


 それは、わたしが現実をちゃんと理解しているから。


 後悔したし、苦しくなった。


 つらくて、泣きたくて、でもそれは許されない。


 どうして、大丈夫だって思っちゃったんだろう。


 どうして、ミヅキの代わりになるなんて、無茶なことをしたんだろう。


 本物のミヅキになれないことなんて、最初からわかってたのに……。


 でも、それでも傍にいたかった。


 偽者でもなんでもいい。


 いつかカナは、わたしを思い出してくれるって信じたかったから。


 ……だけど本当は、なんとなく気付いてた。


 そうやって傍にいれば、そのうちそれだけじゃ満足できなくなるってこと。


 一番になりたいって思うのは、当然のことだったのかもしれない。

< 121 / 298 >

この作品をシェア

pagetop