君の世界からわたしが消えても。

 今まで、カナの隣にはミヅキがいたから、わたしは自分の気持ちを押し込めることができていたんだと思う。


 それは頼りない細い糸で、かろうじて切れない状態を保っているような、危ういものだったんだと思う。


 今、カナの隣にミヅキはいない。


 わたしがカナに寄り添うチャンスでもある。


 だけど、そんなことできるはずがない。


 ……そう思っているのに。


 わたしの行動、思いや言葉は、ちぐはぐだ。


 ミヅキとカナが大切だと言っておきながら、嘘をついているのは誰?


 ハヅキとして傍にいたいと思っていたくせに、ミヅキだと勘違いされているこの状況に、甘えているのは誰?


 カナに全てを思い出してほしいと思う一方で、それを怖いと思っているのは誰?


 『怖い』って思う本当の理由は?


 考えれば考えるほど、たくさんの矛盾が出てくる。

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