君の世界からわたしが消えても。

 その場を取り繕うためにとっさについてしまった嘘は、こんなにもわたしを苦しめる。


 もどかしくて、悲しくて、胸が痛くなる。


 こんなにきついなら、いっそのこと、カナに本当のことを話してしまえばいいんじゃないかって思った。


 わたしがミヅキじゃないことも、なにもかも全部。


 でも、そんなこと、わたしにできるはずもない。


 カナがどうなっちゃうのか、わからないから。


 怖いから。


 そうやって自分の気持ちを見ないふりして、嘘をついて。


 わたしは、ミヅキにもカナにも、最低なことをしてる……。


 こんなわたしを、ミヅキはどんな気持ちで見ているのか考えると、本当に頭がおかしくなりそうになる。


 最低だ、って。


 ひどい、って。


 そうやって罵って、蔑んでくれたら楽になれるのに、と思う。


 だけどもう、ミヅキはこの世にいない。


 許しの言葉をもらうことも、罵倒されることもできない。


 これから一生、許されることなんてないんだ。


 カナに嘘をついている罪悪感より、ミヅキに対する罪悪感の方がすごく大きい。


 気が付けば、自分が楽になれる方法ばかり考えている。


 こんな自分が、どうしようもなく嫌い。

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