君の世界からわたしが消えても。

 平凡な毎日を過ごすこと。


 それを、当たり前のことだって思うこと。


 それがどれだけ幸せなことなのかを、心地いいぬるま湯につかりっぱなしだったわたしは、気付くことができなかった。


 全部、ミヅキがいなくなってから知った。


 カナが目覚めないかもしれないと言われた日に、実感した。


 この世界に、当たり前なんて存在しないこと。


 ……いつでも会えるなんて、嘘。


 会いたいってどんなに願っても、それは叶わない。


 全部全部、2年前に知ったこと。


 だから、思う。


 だから、悩む。


 このまま宙ぶらりんのまま流れに身を任せていたら、また大切なものを失うかもしれない、って。


 大切なものを失わないようにするにはなにをすればいいか、後悔しないためにはどうすればいいのか。


 今の時点でたくさん後悔してる。


 それをどれだけ後悔しない道に持っていけるか、わたしは選ばなくちゃいけない。


 たくさん悩んで、わたしが決めなくちゃいけない。
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