君の世界からわたしが消えても。

 それを心の中で何度も復唱して、大きな丸い月をもう一度見上げた。


 雲がかかって、半分くらいしか見えなかった。


 ベッドの上に置きっぱなしにしていた三日月のペンダントは、無造作に転がっていた。


「約束は、必ず守るよ」


 だけど、……ごめんね。


 謝罪の言葉は、胸の中で。


 ミヅキに向かって、そう話しかけた。


 ……許されたいとか、謝りたいとか、全部わたしのエゴ。


 悩んで迷って間違うくらいなら、後悔しても、わたしは自分が選んだ道を信じたい。


 苦しくてもつらくても、どうせ全部が取り返しのつかないことで、エゴだから。


 カナが目覚めてからたった数日で、早くも折れそうになる弱いわたしだけど、大切だからこそ、耐えなくちゃいけない。


 ……もういないミヅキのことよりも、今を生きるカナのために。


 わたしはミヅキのことよりも、自分自身のことよりも、カナのために行動するよ。


 だから、ごめんね。


 ミヅキ……。


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